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実践編

実践編


水漏れの賃料減額等申入れ書

水漏れや雨漏りによって居室内や使用できなくなったり、家電製品の故障や家具や書類・備品が毀損してしまう場合があります。

賃貸借契約においては、借主は定められた時期に賃料を支払う義務を負い、貸主(大家)は、目的物を使用収益させる義務を負います(民法601条)。

そして、貸主は賃貸物の使用及び収益に必要な修繕をする義務を負います(民法606条)ので、借主は貸主に対して、修理修繕をするよう求めることが出来ます。

また、もしも借主が賃借物について賃貸人の負担に属する必要費を支出したときは、賃貸人に対し、直ちにその償還を請求することも出来ます(民法608条1項)。

なお、水漏れによって電化製品が故障してしまったり、家財道具が毀損してしまった場合、民法415条または民法709条により、修理修繕費用相当額もしくは時価額相当額、および使用出来ない期間の代替措置で生じた費用についての賠償を請求することが可能です。

そして、判例上、貸主の修繕義務不履行により建物の一部が使用できなくなった場合、賃料の支払義務はなくなりませんが、賃借人は家賃の減額請求権を有するとされています。

よって、居室内における水漏れの場合には、使用することの出来ない面積割合と期間に応じて賃料の減額請求をすることが可能です。

ただし、クーラー設備の故障など、障害の程度が一部にとどまる場合には、賃料支払義務を一部についても免れない、という判例もあります。


名古屋地方裁判所 昭和62年1月30日判決
「本件建物2階部分の少なくとも3分の2が,昭和56年9月1日以降同五58年7月末日まで原告の修繕義務の不履行により使用できない状態にあったことが認められるところ,修繕義務の不履行が賃借人の使用収益に及ぼす障害の程度が一部にとどまる場合には,賃借人は,当然には賃料支払い義務を免れないものの,民法611条1項の規定を類推して,賃借人は賃料減額請求権を有すると解すべきである。」


東京地方裁判所 平成5年11月8日判決
クーラー設備の故障など、障害の程度が一部にとどまる場合には、賃料支払義務を一部についても免れない。




水漏れの賃料減額等申入れ書

平成●年●月●日


被通知人
 東京都●●区●●
 乙野 太郎 殿
通知人
 東京都●●区●●
 ●●マンション000号室
 甲野 健一


 冠省。
 早速ですが、貴殿に対し、以下の通り通知いたします。

さて、私は貴殿との間で、平成●年●月●日付に賃貸借契約を締結しており、貴殿より、通知人欄記載の住所に所在する区分所有建物(以下「本物件」という)を借り受けておりますが、すでに平成●●年●●月●●日に申し上げている通り、本物件の居宅内へ水漏れ被害を受けており、専有面積●●㎡のうち、●分の1にあたる●●㎡が使用することの出来ない状態となっております。
 賃貸借契約においては、借主は定められた時期に賃料を支払う義務を負い、貸主(大家)は、目的物を使用収益させる義務を負います(民法601条)。
 そして、貸主は賃貸物の使用及び収益に必要な修繕をする義務を負います(民法606条)。
 また、水漏れによって故障した電化製品や毀損した家具家財に関しても、民法415条または民法709条により、修理修繕費用相当額もしくは時価額相当額などの賠償を請求することが可能です。
 さらに、判例上、貸主の修繕義務不履行により建物の一部が使用できなくなった場合、賃借人は家賃の減額請求権を有するとされています。
名古屋地裁 昭和62年1月30日判決
「原告の修繕義務の不履行により使用できない状態にある場合、民法611条1項の規定を類推して,賃借人は賃料減額請求権を有すると解すべきである。」

つきましては、私は、貴殿に対し、以下のとおり申入れいたします。

【申入れ内容】
本書面速やかに修理修繕をするか相当な期間内での修理修繕をする期限を回答ください。
平成●年●月●日より修理修繕が完了する日まで月額賃料の●分の1にあたる月額金●●●●円の賃料を減額するものとし、次回支払分より相殺充当します。
水漏れによって故障した●●の修理代金●●●万円、および壊れた●●の時価相当額である金●●万円の合計金●●●●万円を私の銀行口座へ振込送金の方法によりお支払いください。

 なお、上記期間内に送金がなされず、書面による回答すらも頂けない場合には、やむを得ず、弁護士に一任の上、法務局に賃料を供託するととともに、申立や訴訟の申立・仮差押え、その他の法的手続に移行する所存ですので、申し添えます。
 以上、宜しくお願い申し上げます。

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