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実践編


実践編


騒音差止めの申入れ書

騒音とは、聞く者にとって「不快に感じる音」の総称ですが、環境基本法第2条第3項でも「典型七公害」の一つと定めており、度を超えた騒音は、人の健康又は生活環境に係る被害が生ずることがあり、過去には、騒音を原因とした殺人事件や傷害事件などもあり、また、故意の騒音によって近隣住民の生理的機能に傷害を負わせたとして、実刑判決を受けた事例もあります。

そのため、故意または過失によって生じた騒音が、不法行為として、損害賠償責任を生じることがあります。


集合住宅における騒音の主たる原因としては、
子どもの飛び跳ねる音や叫ぶ声、夫婦喧嘩、TVやピアノなどの楽器音、深夜の洗濯機や掃除機、トイレやバスの給排水音、などがあります。

集合住宅においては、お互いに一定の範囲で、我慢をして譲り合う必要があり、この「受忍限度」を超えているかどうかが問題となります。

受忍限度とは『被害の度合いが一般社会で考えられている考え方や常識上忍耐できる限度』と定義されています。

裁判例においては、以下のとおり説明されています。


最高裁判所平成10年7月16日判決 要旨
「侵害行為の態様と侵害の程度、被侵害利益の性質と内容、侵害行為の持つ公共性ないし公益上の必要性の内容と程度等を比較検討するほか、被害の防止に関して採り得る措置の有無及びその内容、効果等の事情をも考慮し、これらを総合的に考察して決すベきものである」



内容証明の作成にあたって確認すべき事項

当事者の情報
ご本人
 住所
 氏名
 居住開始時期
 居住区分(賃貸・自己所有・家族持家・社宅、その他)
 同居者(家族・従業員などの続柄や人数など)
相手方
 住所
 氏名
 居住開始時期
 居住区分(賃貸・自己所有・家族持家・社宅、その他)
 同居者(家族・従業員などの続柄や人数など)
騒音に関する情報
 騒音の日付、時間、音の種類、頻度、程度、その他
 騒音計測の有無、方法、内容
 相手方への連絡、苦情、相談の日付や内容
 大家や管理会社等への連絡、苦情、相談の日付や内容
 および
 これらに対する回答や対応の有無・内容、方法、等
 騒音にかかる、入通院や避難の有無、内容

騒音などの近隣トラブルでは、加害者が被害の程度を認識しておらず、主観的な過剰反応であると誤解されていることも多くありますので、客観的なデータや具体的な被害状況を記載することも重要です。

地方自治体によっては、条例によって規制基準を定めている場合もありますし、住民への騒音計の貸し出しなどを行っている場合も多くありますので、ご確認なさって下さい。




騒音等に対する差止要求通知書

令和●年●月●日


被通知人
 東京都●●区●●
 ●●マンション000号室
 乙野 太郎 殿
通知人
 東京都●●区●●
 ●●マンション000号室
 甲野 健一


 冠省。
 早速ですが、貴殿に対し、以下の通り通知いたします。
 私は、令和●●年●●月より、貴殿の部屋の階下に居住し、生活をしているものであります。
 すでに、これまでも、再三にわたって申し入れをしてまいりましたが、貴殿が居住するようになった令和●年●月以降、貴殿宅から、子どもの走り回る音や飛び跳ねる音、叫び声などが、連日にわたって夜9時以降まで繰り返されております。
 音量や時間帯、反復性など、いずれも、許容限度をはるかに超えるものであり、現在、私たち家族は、夜もまともに寝付けず、睡眠障害と偏頭痛に苦しみ、通院加療を要するなど、日常生活や家事にも多大な支障をきたす状態に至っております。
 そして、管理会社へも相談し、貴殿宅へ度々にわたる注意警告がなされておりますが、残念ながら、未だに一切の改善がなされず、謝罪はおろか、反省や改善の見込みも無く、平穏な生活を侵害され、今後将来の生活にも不安を抱えております。
 そのため、今般、やむを得ず、私は、東京都庁へ相談してアドバイスを受け、騒音計によって計測を行いましたところ、貴殿宅からの騒音は、50db~65dbという、東京都の条例が定めた騒音レベルを超えていることが判明しました。
 当然ながら、貴殿の子どもが発生させる騒音については、民法第714条の定めにより、貴殿自身が監督義務者として責任を負うものであり、上記のとおり、私の被った騒音の被害は、社会通念上の受忍限度を超えるものであり、不法行為(民法第709条)にあたります。
 裁判例においても、子どもの起こす生活騒音について、慰謝料の支払いや治療費の支払いを命じる事例が数多くあります。
 つきましては、私は、貴殿に対し、本書面を以て、以下のとおり要求する次第です。
【私の要求内容】
損害賠償金(慰謝料、通院費、騒音測定費用、等)として、金100万円を本書面受領後1週間以内にお支払い下さい。
即刻の騒音中止と、以後一切の騒音が生じないよう、必要な措置を講じて下さい。
騒音の事実を認め、以後生じさせない旨の誓約を明記した謝罪文を提出して下さい。

 なお、本通知書で提示している条件は、あくまで裁判外での解決をする場合のものであり、貴殿に対して過分な費用や労力の負担を発生させないために提示しているものであります。
 そのため、貴殿が事実を認めて謝罪し、適切な措置を講じると約束をするのであれば、慰謝料の請求に関しては、留保する用意があります。
 しかしながら、もしも本書面到着後1週間以内に、何らの誠意ある回答も頂けない場合には、上記提案はすべて破棄とさせていただき、別途、●●簡易裁判所に対して、民事訴訟を提起する所存ですし、その場合には、上記請求額の増額のみならず、治療費や騒音測定費用、および弁護士費用も付加しての請求となりますので、ご承知おき下さい。
 また、本件に関する今後の連絡事項については、言葉の齟齬によるトラブルを回避するため、すべて文書のみとして下さい。
 以上、宜しくお願い申し上げます。

草々