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内容証明の書き方

内容証明のルール

内容証明>を書くにあたっては、書式などについて一定のルールがあります。

① 用紙

用紙のサイズや紙の材質に関しては、原則として自由です。
一般的には、B4ないしA4サイズのコピー用紙を使用します。
文房具屋などに、内容証明専用の用紙が売っていますが、これを使用しなくても問題はありません。
ただし、差出郵便局で5年間保存される為、FAX感熱紙などの、保存に耐えないものは、使用することが出来ません。


② 枚数

内容証明の枚数 枚数については、制限はありませんので、何枚になっても、大丈夫です。

複数枚の場合、1部毎にホチキスで綴じ、すべてのページとページの繋ぎ目にまたがって押印(契印)をすることが決まりになっています。

ページのつなぎ目にする契印(割印)の場所は、郵便法の詳細を定める内国郵便約款の123条により、ページのつづり目となっております。
そのため、ページを半折りにしての上部押印などでは無く、必ずページを開ききって「つなぎ目」に行う必要があります。

内容証明を綴じる 内容証明の契印


③ 文字数・行数

1行あたりの字数と1枚あたりの行数については、制限が決められています。
以下のとおり、縦書きの場合は1種類、横書きの場合は3種類、計4種類のうちの、いずれかの方法で書く決まりになっています。
一般的には「1行20字以内、1枚26行以内」の書式を使用することが多いです。


縦書きの場合
・1行20字以内、1枚26行以内

横書きの場合
・1行20字以内、1枚26行以内
・1行13字以内、1枚40行以内
・1行26字以内、1枚20行以内

空白「 」は文字数としてカウントしません。
文字のない空白行も行数としてカウントされません。

あくまで「以内」ですので、Microsoftワードの原稿用紙ウィザードなどによる20字×20字の書式でも構いません。
ただし、最終ページの末尾に、郵便事業株式会社の認証司による認証スタンプが押せる程度の余白を開ける必要があります。

電子内容証明の場合は、文字数や行数の制限がありません。


④ 使用出来る文字

使用できる文字は、ひらがな、カタカナ、漢字、数字、および一般的な記号、句読点。
英字は固有名詞(人名・地名・会社名・商品名、など)のみ使用することが可能です。
「」や( )などのかっこに関しては、1組で1文字として数えます。

 ○や□で囲んだ文字や数字は、2文字として数えます。

  ①は○と1で2文字。
  (1)や(2)、(一)や(二)、など、いずれも2文字。

 ただし、序列を示す記号として使用する場合は、全体として1文字と数えます。
 (1). 赤 ←2文字

文字や記号に傍点や下線等を施すことは可能です。
これらは文字数には含まれません。


文字の数え方


⑤ 標題(タイトル)

内容証明に書く標題(タイトル)の有無は、手続き上は全く自由です。
無くても、発送することが出来ます。
ただし、相手に主旨が伝わるように、わかり易い標題(タイトル)を書く方が良いかと思います。

「貸金返還請求書」
「消滅時効援用通知書」
「セクハラ行為に対する警告書」
「契約解除通告書」
「債権譲渡通知書」
などなど。


⑥ 差出人・受取人

差出人と受取人の住所氏名は、記載が必須となります。
また、記載する内容は、封筒の記載と同一で無ければなりません。

差出人の表記例

差出人が親権者の場合
 東京都○○区○○町○丁目○番○号
 通知人○○○○ 法定代理人親権者 ○○○○

差出人が相手に芸名・ペンネーム等で認知されている場合
 東京都○○区○○町○丁目○番○号
 通知人 通称「○○○○」こと ○○ ○○

文面中、差出人の氏名の横(または下)に押印するのが一般的な慣例ですが、決して規定ではなく、あくまでも自由(任意)です。

相手方に自宅住所を知られたくない場合、弁護士や行政書士に内容証明郵便による通知書面の作成送付を依頼することで、差出人は、その依頼した弁護士や行政書士となりますので、住所を記載せずに通知書面を送ることは可能です。
ただし、その場合でも、通知人の氏名は記載が必要です。




受取人の住所・氏名は、原則として、番地や部屋番号まで、正確に記載する必要があります。

住所までわかっていて、部屋番号のみが不明という場合に関しては、受取人が、もともと郵便物が多い場合、または、その場所に何年も住んでいる場合、珍しい苗字の場合、等であれば、届く可能性が高いです。

ただし、相手が、引っ越して間もない場合、郵便物が少ない場合、同じ建物に同性の方がいる場合、などは、誤配防止で差し戻される可能性が高いのでご注意下さい。


受取人の表記例

受取人(相手方)個人の自宅宛へ発送する場合
 東京都○○区○○町○丁目○番○号
 ○○○○ 殿

受取人(相手方)個人の勤務先宛へ発送する場合
 東京都○○区○○町○丁目○番○号
 株式会社○○○○ 気付
 (親展)○○○○ 殿

受取人(相手方)の親権者宛へ発送する場合
 東京都○○区○○町○丁目○番○号
 ○○○○殿 法定代理人
 親権者 ○○○○ 殿

相続人(相手方)宛へ発送する場合
 東京都○○区○○町○丁目○番○号
 亡○○○○ 承継相続人
 ○○○○ 殿

受取人(相手方)法人宛の場合
 東京都○○区○○町○丁目○番○号
 株式会社○○○○
 代表取締役 ○○○○ 殿

内国郵便約款第123条(5)によれば、受取人が1名の場合、差出人と受取人の住所・氏名は、文書内の所定の文字数・行数の範囲外の余白に付記、もしくは別紙に記載して添付することが可能ですが、通常は、文書の所定の文字数・行数の範囲内で記載することによって付記・別紙を省略していることが大半です。


⑦ 前文・後文

内容証明の場合、一般の手紙のような、時候のあいさつや文末の結び言葉は省くことが大半です。

「冠省。~(本文省略)~草々」

通常は、権利義務や事実証明に関する必要な事項のみを記載するのが一般的です。
もっとも、請求に対する減免のお願いや協議の申し入れなどのような場合には、相手方に悪感情を抱かせないように配慮し、あいさつを加える場合もあります。


⑧ 本文

ここに、一番伝えたい内容を書きます。
原則として、規則上は、通常の手紙と同様、自由に書いて構いません。
もっとも、本来的な目的は、意思表示の到達ですので、主張や要求が相手方に明確に伝わるように、これまでの事実経緯から始まり、大前提、小前提、結論、とまとめるようにします。
あまり感情的になって、相手方に脅迫や侮辱、名誉毀損などと反論されないよう、ご注意下さい。


相手に対する要求に関しては、「○○法第××条にもとづき」と明記するなど、出来る限り明確な根拠や理由を示す方が良いです。

通知書面を発送する前に、相手が書面を受け取ったら、言ってくるであろうと事前に想定される反論や言い訳については、予め、その補足説明を記載して、不要な往復の手間を避けるようにしておくことが最善です。
また、相手が書面を受け取ったあとに取りうる言動に対しては、そのような言動をされたら、どのような措置を講じるかを前もって明記して釘を刺して封じておくということも重要です。

相手からの回答や履行を求める場合には、期限を明示し、期限が経過した場合にどのような手段をとるか、明記した方が良いです。
期限の定め方については、特別の必要が無ければ、本書面受領後○○日以内などと定めるのがベストです。

例えば、期限の定めの無い債務に関しては相当な期間を設けて催告をすることで契約の解除をすることが出来ます。

その場合、期限を「期限は○月○日までとします」などと定めてしまうと、もしも不在による再配達などで、受領時に、すでにその期限を過ぎてしまったり、あるいは相当な期間を設けていないことになるおそれがあり、契約解除の効力が生じ無くなるおそれがあるからです。


⑨ 同封

同封禁止

普通の手紙であれば、借用書のコピーや資料・写真などを同封することが出来ますが、内容証明郵便の場合には、所定の書式の内容証明の文書以外のものを同封することが出来ません。

その為、所定の書面以外に送りたいものがある場合には、別郵便で送付する必要があります。

その場合、内容証明郵便の書面には、文中に以下のような一文を記載しておくと良いです。
※「別郵便で売掛金計算書をお送りしましたのでご確認下さい」
※「必要があればいつでも借用書のコピーをお送りします」
※「証拠となる写真を別郵便で発送しましたので、お受け取り下さい。」


⑩ 使用する筆記具

文書の記載に使用する筆記具も、ペンでも構いませんし、ワープロやプリンターのトナーやインクでも構いません。
ただし、鉛筆は証明に耐えることが出来ませんので、認められません。




内容証明の作り方

内容証明>は、相手方が1名の場合、同一の文書を3部作成します。
(1)相手方に発送するもの
(2)郵便局に保管されるもの
(3)差出人の保管する控え

3部については、文面の記載内容が同一でさえあれば、手書きでも、カーボン紙による複写でも、コピーでも構いません。


封筒の作り方

封筒のサイズや紙の材質、種類などに関しては、普通の郵便で利用出来る封筒であれば、原則として自由です。
一般的には、定形内の封筒を使用します。
封筒の表に受取人の住所・氏名を記載します。
封筒のうら、または、表の下に差出人の住所・氏名を記載します。
住所と氏名の記載は、内容証明の文中に記載している差出人・受取人と同一の内容、同一の記載で無ければなりません。
封筒に記載する「内容証明在中」や「親展」などの外脇付は、自由です。


受取人が複数の場合

通知人が1名で、送り先の受取人が複数の場合、送り先数分の封筒を用意し、受取人それぞれの送り先を記載します。


通知人が複数の場合

通知人が複数で、送り先が一箇所の場合、封筒に記載する差出人は、通知人のうち、いずれか代表者1名の住所氏名のみを記載します。





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