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実践編


実践編


解雇予告手当請求書

使用者が従業員を解雇する場合、30日前に予告するか、30日分の解雇予告手当の支払をする必要があります。


労働基準法 第20条1項(解雇の予告)
使用者は、労働者を解雇しようとする場合においては、少くとも30日前にその予告をしなければならない。
30日前に予告をしない使用者は、30日分以上の平均賃金を支払わなければならない。
但し、天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となつた場合又は労働者の責に帰すべき事由に基いて解雇する場合においては、この限りでない。

試用期間中でも14日を超えて働いた場合は、企業に解雇予告手当を支払う義務があります。

また、解雇する場合には、合理的な理由があり、社会的に相当であると認められるだけの合理的な解雇理由が無ければなりません。


労働契約法16条
解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。

なお、不当解雇によって、本来であれば得られたはずの賃金相当額を逸失利益として請求することが出来ます。
この逸失歴の額というのは、裁判においては、通常、再就職するまでに要する期間分を目安として認定されます。
おおむね3ヶ月~6ヶ月分の賃金相当額というケースが多く、専門技術職の場合には、さらに長くなる場合もあります。




解雇予告手当請求通知書

令和●年●月●日


被通知人
 東京都●●区●●
 株式会社●●●●
 代表取締役 山田 太郎 殿
通知人
 東京都●●区●●
 甲野 健一


 冠省。
 早速ですが、以下の通りご通知させていただきます。
 私は、貴社から雇用され、令和●●年×月××日から社員として労務を行ってまいりました。
 そして、令和●●年×月××日、貴社より、同日付の解雇を言い渡されました。
 しかしながら、私は既に入社してから14日間以上経過しており、解雇理由は客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められず、労働契約法第16条に定める解雇権濫用の法理により、本件解雇は無効ではないかと思慮しております。
 ただし、現時点では、貴社と争う意思はなく、労働基準法第20条に定められている解雇予告手当の支払いさえ頂ければ、それで終わりにしようと考えております。
 つきましては、貴社に対し、解雇予告手当の金▲▲▲▲▲▲円および現時点までの未払い賃金金××××××円(令和×年×月×日から令和×年×月×日分)を、本書面到着後1週間以内に下記の指定口座へ振込送金の方法によりお支払い頂けるよう、請求させて頂きます。
 また、併せて、源泉徴収票と労働基準法第22条に定める退職時の証明書(在籍期間、業務内容、地位、賃金、解雇事由、を記したもの)、及び離職票をご送付下さい。
 もしも送金が無く、誠意ある回答もいただけない場合には、不当解雇によって生じた逸失利益の回復を図るべく、過去平均賃金の●ヶ月分元本と遅延損害金(支払うべき日の翌日から年6%)、および労働基準法第114条に定める付加金(未払賃金の元本同額)を加算した金額を求めて労働審判申立などの民事上の請求を行うと同時に、労働基準監督署への労働基準法違反の申告および刑事告訴も並行して行なう所存ですので、善処頂けますよう、お願い申し上げます。
 なお、賃金の不払いは、労働基準法第119条により、最高で懲役6ヶ月の刑に処せられるおそれがありますので、ご注意下さい。
 最後に、今後の連絡事項等は、書面のみとし、私や私の家族等への電話や訪問などでの直接折衝はご容赦下さい。
 万が一、この申し出に反して直接折衝などをされた場合、強要罪(刑法第223条)や業務妨害罪(刑法第233条、234条)で刑事告訴する場合がありますので申し添えます。

草々